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納得の完勝だったバイエルン。バルサはなぜ無力だったのか

text by 植田路生 photo by Ryota Harada、Kazhito Yamada / Kaz Photography

いつの日か“強いバルサ”が戻ってくる

納得の完勝だったバイエルン。バルサはなぜ無力だったのか
【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 バルサの生命線である前線からのプレッシングはほぼ無力に近かった。バイエルンの選手たちが献身的に動くことでパスコースの限定を防ぎ、自分たちがボールをつなぎやすいようにしていたこともあるが、問題なのはいつまでも同じようにプレスをしていたことだ。

 ボールホルダーに対して普段通りプレスするだけでなく、あえて行かずにパスコースを複数人で切る。あるいは時間帯によってはオールコートマンマークに近い形でやってみるなど策を講じるべきだったが、ほぼ無策だった。

 絶望的な点差ゆえなのか、監督の力量なのかは定かではないが、バルサの選手たちが思考停止に陥っていたことは確かだ。攻撃の局面でもサイドから簡単にクロスを上げるシーンが多々あった。小さな体の彼らがエアバトルで何をしようと言うのだろう。

 結局メッシが出る場面もなく(出られない状態だったかもしれないが)、完敗したバルサ。だが、彼らが今まで積み上げてきたものが消えるわけではない。来季以降もスタイルは変えないだろうし、いつの日かまた“強いバルサ”が戻ってくるだろう。

 1つ問題があるとすればバルサ・スタイルを安易に取り入れた各国の指導者たちだろう。バルサが成り立っているのは、確固たる哲学があるからだ。表面上のスタイルの模倣だけではバルサには近づけるわけがない。

 今日の試合は戦術の潮流が変わる契機となるはずだ。バルサにとってそれは何の問題はない。だが、哲学なくしてバルサ・スタイルに挑戦した各国の指導者、選手たちはこの完敗をどう受け止めるだろうか。

【了】

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