今後のキーワードとなる「余力」という言葉
また、今季加入しゲームキャプテンを務める山口貴弘も「このチームはとにかく選手同士が良く話しますね。良いことも悪いこともみんなとことん話すのでビックリしたし、とてもいいことだと思う。ただ仲良しなだけではなく要求もきちんとできる雰囲気がある」とロッカールームの様子を明かす。それは高木監督も「今はみんなJリーグで戦うんだといった同じベクトルで、とても意識が高い」と認めている。
加えて高木監督は「Jで試合をするたびにチーム力が上がっている」と選手の頑張りを讃えている。ファジアーノ岡山との開幕戦では先発11人のうち7人が新加入選手で占められたが、怪我や不調で戦列を離れると山田、水永、古部健太、金山隼樹などJFL時代からの選手が先発出場し、やがて定着するようになっていった。
11節の愛媛戦ではJFL時代からの選手6人の名前が先発に並んでいる。「怪我で選手がいないから複数のポジションをやってもらうしかない」と苦しい台所事情を冗談めかして話していたが、結果的にこれがまさに怪我の功名となり、当初は控えだった選手が躍動することで複数のポジションをこなせる選手が増えたのだ。
長崎旋風の発生原因はハードワークやチャレンジスピリッツといった要素以外にも、これまで培われてきたチーム内の雰囲気が土台となっている部分もある。さらには、控え選手の出場によってチーム力が向上するなどの様々な要素が幾重にも重なり、誰も予期しなかった良い結果を生んでいると言える。
ただ、夏になると足が止まり、さらには研究されて勝てなくなることは大いに考えられる。その時、長崎はチームとして更なる進化を遂げなければならないだろう。
最近、高木監督は「余力」という言葉を良く使い「試合後半の最後にどれだけ余力が残っているかで勝負が決ま る」と話している。バトル・オブ・九州となった熊本戦後には「勝因は走り勝ったことでしょう。(後半にも走れるという)余力をもっとシーズン後半に向けて作っていきたい」と夏や研究された後を意識した発言をしている。おそらく更なるハードワークをチームに課していくことで、新たな勝ち方を構築していく狙いがあるようだ。
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