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奇跡ならずもモウリーニョは死なず。ドルトムントを追い詰めた超攻撃的3バックを徹底分析

text by 河治良幸 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

モウリーニョは何を意図していたのか?

 [4-4-2]のドルトムントに対し、構成上は2列目の3人が間に入り込む形を取り、その前で2トップが相手のセンターバックとマッチアップする。そこに5人の流動性を加え、コンパクトなゾーンで守るドルトムントにプレスの的を絞らせず、ディフェンス・ラインを下げさせ、無効にしようという意図が見て取れた。

 さらにカカはサイドからクロスが上がれば前に上がり、中央では素早いパスを交換して突破を試みることができる。

 “マジック・マジャール”と恐れられた1950年代ハンガリー代表の“MM型”を彷彿させるこのシステムは、サイドからの攻撃に対して弱点を持つ。

 だが、合計で3点をリードしているドルトムントは後半に入って、2トップのレバントフスキとロイスに頼った攻撃になっていた。

 後ろの3人をボランチが補佐する体制で十分に防げる、というモウリーニョ監督の目算があったのだろう。そもそも守備のリスクを重視している状況ではなかった。

 ただ、実質4列になり、全体が間延びしやすくなる中で、5人で攻め、5人で守る様な状態が続きやすいのがこのシステムの宿命的な問題であり、ドルトムントは深めの守備を強いられながらも、ワイドMFのグロスクロイツとブワシュチコフスキも中に絞って守備に参加することで、次第にマドリーの攻撃陣に翻弄される度合いが弱まってきた。

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