ギャップを見極めたフンテラールの動き
バイエルンが最速の優勝を決めたブンデスリーガは2位ドルトムント、3位レバークーゼンもほぼ確定し、チャンピオンズリーグ最後の出場枠となる4位争いに注目は絞られてきた。
4位シャルケは2ポイント差で追う北の名門ハンブルクと対戦。右サイドバックでフル出場した内田は相棒のファルファンが欠場、相手のサイドアタックに対応する時間も長くなったが、安定した対応でハンブルクの攻撃を封じた。しかし、この日の主役はドルトムントとのルール・ダービーで左ひざを負傷して以来、6試合ぶりの出場となったエースだ。
5分にCKの折り返しから191センチのヤンセンにヘッドを叩きこまれる、最悪の立ち上がりをしてしまったが、すぐにフンテラールのポストプレーからバストスが右ワイドに飛び出して合わせる、鮮やかな速攻で同点。
そこからフンテラールが怒涛のハットトリックを決め、4-1で快勝。マインツと引分け足踏みの5位フランクフルトに勝ち点3の差を付けた。
フンテラールによるハットトリック劇の1点目は前半21分。左のスローインを守備者に囲まれながら粘り強くキープしたフンテラールは、背面気味の体勢から浮き球のパスをドラクスラーにつなげると、反転から素早く動き直し、ゴールエリア内のスペースに入り込んで、ショートクロスに左足で合わせた。
この場面でポイントになったのは瞬間的に生じるギャップをいち早く見極め、突く動き。素晴らしいのは、フンテラールが際どいプレーをした直後にもかかわらず、集中を切らせることなく、フィニッシュのポイントに向けて動き出していることだ。
ハンブルクはボールを受けたドラクスラーを右サイドバックのマンシエン、センターバックのヴェスターマン、さらにはGKのアドラーまでがドラクスラーを阻止しにかかった。
その時点でハンブルクの守備陣に、フンテラールの飛び出しをケアできている選手はいなかったのだ。ただ、ここでフンテラールが、ゴール前のスペースを見てから動き出したのであれば、ペナルティエリア内の中央よりにいたヤンセンが付くこともできたはず。
しかし、フンテラールはドラクスラーに意識を向けるヴェスターマンにシンクロする様な動きで、“スペースが空いた”はなく、“スペースが空く”ところを突いていた。