ダービーでの課題をしっかりと解消
「今日は左サイドに重点置いてやってたんですけど、槙野とウガとすごい良い距離でできていた」と柏木が話すように、試合を通して柏木、宇賀神、槙野の3人がの関係で相手陣内深くまで進入して、たびたびチャンスを作っていた。
ここ数試合、調子を取り戻しつつある柏木を中心にした左サイドに意識が向けば、マルシオがゲームを作り、さらに右サイドで平川が相手ディフェンダーに1対1を仕掛け、中央が開けば阿部や鈴木が持ち上がる。
さらに最終ラインの那須が「極力前でもらえる様に縦につけて、それをサポート行く意識をしていた」と話したとおり、チームとして積極的に上がる場面が多く見られた。
直前の試合である大宮戦で出た「少し後ろ後ろになってしまった」という課題を、次の試合でしっかりと解消するところが現在の浦和の最大の強みである。その結果として、厚みのある連続攻撃から平川のアシストで興梠の同点ゴールが生まれ、さらに槙野のアシストにより阿部のオーバーラップからの勝ち越しゴールへと繋がった。
興梠の仕掛けで得たこの試合2本目のPKはマルシオがしっかりと決めて3対1、あと1点取れば当該チーム同士のスコアで並ぶところまできたが、そこから広州の反撃を受けて1点を返され、最終的には3対2での勝利となった。惜しいところもあったが、このACLグループリーグ突破へと夢を繋ぐ貴重な逆転勝利を見届けたのは19,687人。
先制されながら畳み掛けるように得点を重ねて一気に逆転した姿は、雨の中でも眩しいほどの輝きを放っていた。
少しずつ、確実に前進してきている
「どこが相手でも、どの試合でも自分たち次第だと思う。自分たちがしっかり良いサッカーをして攻撃的にやれれば、本当多くのチャンスを作り出せますし。だから本当、自分たち次第で勝ちも負けも転がると思う。とにかく90分間を通して、どれだけ浦和らしいというか、サッカーを続けられるかが今の最大のテーマだと思う」と那須が言うように、今の浦和は自分たちのペースで試合ができれば本当に強い。
様々なプレッシャーを受ける中で、どれだけ普段通りに自分たちのサッカーができるかという課題に対しても、相手陣内のスペースを上手く使いながら勝利を手にしたこの試合は、また一つ、チームが成長した証となる一発回答ではないだろうか。
突然変異的に、いきなりすべてが良くなるような事はない。今シーズンの浦和は、一歩一歩、時には後戻りをしながら、少しずつ前進していることがはっきりと見て取れる。
全北とは1対3の敗戦の後に2対2で引き分け、0対3で負けていた広州には3対2での逆転勝利。ACLの舞台は、チームをより逞しくさせている。この舞台に立ち続けることができるかどうかは最終戦の結果次第であるが、この成長の機会を逃さぬよう、何とか決勝トーナメントへ、グループリーグ最終節もしっかりと勝利を収め、あとはバンコクに朗報が届くのを待つだけだ。
【了】
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