快勝したシティ戦の立役者だが…
ギャレス・ベイルの威力が、「ハリケーン」に例えられたのは2010年の秋。左サイドを疾走してインテル戦でハットトリックを決めたウィンガーは、2年半を経た現在、オールラウンドな「モンスター」と呼ばれている。
もちろん、敵を置き去りにするスピードと、足を止めないスタミナは健在だ。的確なタッチと、強烈なミドルを撃つパワーを秘めた左足は、カーブの鋭いFKや、巧妙なラストパスでも冴える機会が増えてきた。
その体には、打点の高いヘディングを放つバネと上半身の力も備えている。リーグ戦29試合で18ゴール4アシストのベイルなくして、今季のトッテナムが、4月後半にもプレミアリーグでトップ4を争う状況はあり得なかった。
ベイルの活躍がトッテナムのポイント獲得に直結する度に、アンドレ・ビラス・ボアス監督には「ワールドクラス」と讃えられ、巷では、リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドにも「匹敵する」と騒がれる。
ベイルの個人能力が、ワールドクラスの域にあることは間違いない。但し、現役世界最高の両名と同格の扱いは時期尚早だろう。その理由は、前節マンチェスター・シティ戦(3-1)を例にとれば理解しやすい。
トッテナムが追う立場で迎えた後半、ベイルは逆転勝利の立役者となった。チームの1点目では、左足アウトサイドからダイレクトで、相手DF4名を一網打尽にするグラウンダーのクロスを送ってゴールを演出。
駄目押しの3点目では、無駄のない2タッチから技ありのチップキックで、相手GK越しにネットを揺らしている。極上の1ゴール1アシストだった。