バルセロナの崩壊は次なる創造の始まりである
欧州チャンピオンズリーグ準決勝のバイエルンvsバルセロナは4-0でバイエルンの勝利。バルセロナの負けはある程度予想していたものの、それにしても4点は取られすぎましたね。攻撃でもチャンスらしいチャンスはほとんど作れず、久々の完敗でした。
効果的なボールの動かし方ができず、相手のプレッシャーをまともに受けてしまうシーンが目立ちました。またセットプレーを与えすぎたこともここまで大差がついた要因になったと思います。「高さ」への対応は現在のバルセロナが抱える恒常的な欠陥ですが、今回のような相手ではプジョルの不在はかなりの痛手になりますね。
毎度のことながら、相手は徹底したバルセロナ対策をしてくるわけで、それを上回る何かがなければ、今後もこういうハイレベルな舞台での苦戦は避けられそうにありません。
そういったバルセロナの現状と未来を考察するために、先日発売の『フットボールサミット第12回 FCバルセロナはまだ進化するか?』を鋭意制作したわけですが、苦闘するバルセロナを読み解くにはもってこいの内容になっています(手前味噌で恐縮です!)。
バルセロナの崇高な世界観、流麗なサッカーのメカニズムをたっぷり語るチャビ、サッカーの話はもちろん、なぜか「練習中のサボりの美学」についても尊大に語ってしまうクライフ、遠藤保仁(ガンバ大阪)、中村憲剛(川崎フロンターレ)によるバルセロナの分析企画などなど興味深いインタビューが満載です。ぜひご覧になってください。
「ドリーム・チーム2」と称され、かつてない栄華を誇ったグアルディオラ監督時代のバルセロナですが、ここ数年が強すぎたとも言えます。メッシやチャビの代わりはいるはずもなく、チーム崩壊の足音は着々と大きくなっていると感じます。ただし、「終わり」はある意味、新たな何かの始まりでもあるはずです。
言われなくてもそうすると思いますが、大事なのはクライフ時代に築いた哲学をしっかり継続して、勝っても負けてもこれがバルセロナだというサッカーをしていって欲しいですね。
どこで誰が言っていたのか、あるいは何かで読んだのか、思いっきり失念しましたが、つい最近耳にした言葉で印象的だったのが、「好きなことをやってない奴の顔は歪んでいる」。かといってバイエルンの選手たちの顔が歪んでいたかというと違うと思いますが、いい言葉だなと思います(むしろバルセロナの選手たちの顔が苦虫をかみつぶしたような表情でした)。
「結果を出せ」「何でもいいからとにかく勝て」というような人がいますが(かく言う私も昔はそうでした)、勝ち方を追求しないでどう勝つのか、と思います。
勝った負けたを基準にするのではなく、クオリティを求めるチームには終わりがないので、モチベーションを上げる必要がないと思うんです。なぜなら完璧など存在しないから。
毎試合、「どこまで出来たか」「何が出来たか」を基準にして高めていく、ただそれだけ。そしてそれが勝ちにつながっている…のが理想ですが、そう簡単にはいかないからそサッカーは面白いと思います。
話はそれましたが、結果はもちろん大事ですが、世界中の人がバルセロナに魅了されるのは、そういった彼らの生き方にもあるはずです。
また「ジュニアサッカーを応援しよう!総合サイト」では、本書で登場する、近代バルセロナの栄光を築いたヨハン・クライフのインタビュー記事を一部紹介しています。そちらもあわせてご覧ください。
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