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最後まで未完成だったマンチェスター・ユナイテッドがリーグ戦で独走できた理由

text by 斎藤史隆 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

存在感の大きかったファン・ペルシー

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ファンペルシーの加入がリーグの趨勢を決めた【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 だが、不思議なシーズンであったのも事実だ。開幕戦ではエバートンに敗戦する最悪のスタート。その後も相手に先制点を許すなど、失点の多い試合が続いた。

 しかし、チームには窮地を救う選手が存在した。昨年8月、ファーガソン監督が何度もラブコールを送り、アーセナルから2400万ポンド(約36億円)で獲得したファン・ペルシー。オランダ代表ストライカーは24ゴールを挙げてきたが、目立ったのは序盤戦にチームが苦戦している時の貴重な得点だった。

 チェルシー、シティ、リバプール、アーセナル。前半戦の鍵となる全試合でゴールを挙げ、チームの勝利に貢献したのはファン・ペルシーだった。果たして、29歳がやはり獲得を狙ったシティに移籍していたならば、結果はどうなっていたか。シティのマンチーニ監督も優勝争いがユナイテッドに圧倒的に有利になる今年初めに認めていた。

「我々が優勝争いに加わることができないのはファン・ペルシーの獲得に失敗したからだ」

 ファーガソン監督も優勝が決まると言った。「私が覚えている選手の中でも最大級のインパクトを与えてくれた。アーセナルのベンゲルは『ファン・ペルシーはあなたが考えているよりもいい選手だ』と話していたが、全くその通りだった。失望するようなことは一度もなかった」

 だが、シティを筆頭にライバルチームの低迷もユナイテッドの独走につながった点も指摘しなければならない。ファーガソンも「シティとの直接対決で両チームの差は何もなかった」と1勝1敗の五分に終わったライバルとの2試合を振り返って続けた。

「しかし、残りのチームとの試合では私たちの方がはるかに上だった」

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