いつも通り“つなぐ”ことができるか
好ゲームが期待される試合だが、勝負のポイントはバルサのGKビクトル・バルデスにあると見ている。セービングではなく(言うまでもなく能力は高いが)、攻撃の起点として考えた場合、バルデスが試合の行方を左右するかもしれない。
バイエルンの武器の1つが、前線からの激しいプレッシングだ。恐らくバルサはこれまで経験したことのないくらい押し込まれることも予想される。そうなると当然、バックラインやGKを含めた後ろでのパス回しが増えてくる。
バルデスがそこで焦れてしまってロングボールを蹴ってしまっては、バイエルンの思う壺だ。高さのないバルサがボールを収めることはできない。すぐにボールを拾われ、波状攻撃を受けてしまうだろう。
答えは実に簡単なように思える。バルデスが蹴らずに、勇気を持ってつなぐこと。バルサらしさを失わなければ勝機が見えてくるはずだが、ところがそうもいかない。
バルデスが移籍先を探しているというニュースを覚えているだろうか。自分を高く売りたい選手はイージーなミスは極力減らしたい。するとどうなるだろうか。GKからDFへのパスは、奪われれば失点に直結する。ギリギリの場面で蹴ることを彼は拒否するかもしれない。
真偽の程は定かで無いが、バルサからの契約延長を拒否してから「ロングボールを蹴る機会が増えた」と報道する現地紙もあったくらいだ。本人の口からは間違ってもそれを肯定する答えは返って来ないだろうが、心理的に簡単なプレーを選択することは十分に考えられる。
バルサは“ティキタカ”でなければ強さを発揮することが出来ない。バルデスが長いボールを蹴らないようにいつも以上にポジショニングには気を使わなくてはならないだろう。不用意なバックパスなどもってのほかだ。
バイエルンもそこは当然わかっているはずで、経験の少ないバルトラを狙ってくるだろう。果たしてそこで焦らずプレーできるかどうか。上手くプレスをかわせるようなら、一番力を発揮しやすいポゼッション率70%を超えるだろう。
だが、そこでバイエルンの術中にはまってしまえば、押し込まれることは必至。思わぬ大差で敗れても何ら不思議ではない。
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