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Jリーグ 12年前

ダービーで完敗を喫した浦和。その要因に迫り、今後の戦いを占う。

text by 川岸和久 photo by Masahiro Ura

「自分が」という気持ちが強く出過ぎた

 ゴールキーパーからの球出しが遅れる場面では、監督が早く大きく蹴り出すように促す大きなジェスチャーを見せることもあったが、もう少し落ち着いていつも通りのプレーが出来れば、そこまで苦労しなかったのではないかという印象も受けた。

 また、「みんながちょっと、自分が、自分がというプレーが多くなった」と柏木が言うように、今の浦和がチームとして抱える課題が出た。

 強力なドリブラーなど個の力を軸に、縦への圧倒的なスピードでカウンターサッカーを展開していた浦和であれば、「自分が」という気持ちは劣勢を打開する大きな原動力になる。

 しかし今のコンビネーションを中心としたサッカーでは、各選手の距離感が非常に重要である。

 前線の選手がゴールに気持ちが向くことはもちろん重要だが、最終ラインでのボール繋ぎがスムーズでない時には、前線の誰かが少し下がってボールを受けるといった形がもう少し見られても良かった。

チームとしては、ここ数試合その役割を果たしながら前線へ飛び出すなど、好調をキープしていた原口が負傷交代してしまったことも痛かった。

 マルシオがポジションを下げ中央でボールを受けてフリーになる形から、いくつかチャンスを作ることに成功したのは偶然ではない。

 攻撃時には、4-1-5という陣形を基本とするが、両サイドなり2シャドーなりが少し低い位置で繋ぎに参加することで、よりスムーズに流れる場合もありそうだ。その辺りの使い分けを臨機応変に行うようになれるかが、チームとして一つステップを上がれるかどうかの分岐点になるだろう。

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