ボランチが一番良さを出せるポジションだと思う
南アワールドカップの後、中村俊輔や中澤佑二(ともに横浜F・マリノス)や楢﨑正剛(名古屋)ら日本代表を長年リードしてきた年長者の多くが去り、本田は名実ともにチームの中心となった。今のザックジャパンは彼ら北京五輪世代が軸をなしているといっていい。
香川真司がマンチェスター・ユナイテッド、長友佑都がインテル、内田篤人がシャルケと欧州ビッグクラブでプレーする選手が増えたのも、本田がCSKAでUEFAチャンピオンズリーグ8強入りし、南アで飛躍的な成長を遂げたことが大きい。彼らは切磋琢磨しながら日本サッカーのレベルを引き上げていると藤田も見ている。
――今のザックジャパンは本田世代が軸を担っています。同世代からの刺激は彼を大きく成長させる一因になっていますよね。
「確かに長友とか岡崎(慎司=シュツットガルト)とかみんなで競い合っていることが相乗効果になっているよね。俺らがいた時のジュビロもそうだった。やっぱりいい競争は必要だね。香川(真司)がマンチェスター・Uに行ったこともすごい刺激だろうね。ただ、香川の例は本当にできすぎ。圭佑だって今、CSKAにいるわけだから、慌てずにいい移籍を狙って、次のところで大きく花開けばいい。26歳という年齢は決して悪くない。今のプレーの精度を上げていけば、必ず評価されると思うよ」
――日本代表ではトップ下に固定されていますが、藤田さんは本田選手のベストなポジションはどこだと考えますか?
「俺はボランチが一番よさを出せると思う。トップ下をやれる香川がいるし、彼を好きなようにプレーできるように圭佑がオーガナイズに回った方が、チームにとってはプラスじゃないかな。あいつはミドルからロングレンジのプレーも得意だから香川にいいパスを配球できるし、コンタクトも強いから、多少相手が来ても吹っ飛ばせる。そういう役割が一番いいと思うけど。
ただ、本人がトップ下に強いこだわりを持っているのなら、それを貫けばいい。自分の思いに素直に突き進む方がいいに決まっているし、悔いも残らないからね。とにかく圭佑にはこの先、ケガなく、やってもらって、さらに上のステージに行ってほしい。俺は期待しながら見守っていくよ」
【了】