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日本代表 12年前

本田が進化を続ける理由 ~藤田俊哉が回想するルーキー時代と人間像~(後編)

text by 元川悦子 photo by Kazuhito Yamada

化け物みたいな飛躍

 オランダ移籍から2年半。本田は岡田武史監督(現杭州緑城)率いる日本代表でも不動のレギュラーを勝ち取り、2010年南アフリカワールドカップに出場。カメルーン戦とデンマーク戦で2得点を挙げ、日本をベスト16に導いた。少し前までは代表に定着できるかどうかの瀬戸際にいた男が、短期間であれほどのブレイクを果たすとは誰もが予想していなかった。藤田自身もその1人だという。

――2010年南アフリカワールドカップで本田選手は瞬く間に大黒柱に君臨しました。本人は大会前から「優勝を狙う」といった大胆発言で周囲を驚かせていましたね。

「大きなことを言うことで、自分にプレッシャーをかけてたんだろうね。結果を出せなければ非難されることも承知だったと思う。俺たちの仕事はそういうものだし、もともと免疫は強い。失敗したとしてもそれで人生が終わるわけじゃないしね。圭佑にもそういう割り切りがあったのかもしれない」

――日本代表での強烈な存在感もあって、彼は中田英寿氏とよく比較されますが、2人のことを熟知する藤田さんから見ると?

「彼らは自分のやりたいことにすごく貪欲。自分の進むべき道をきちんと見据えているし、よく準備もするし、本当に目指したところまで行けると信じている。その思いが他の選手とちょっと違う。意識レベルが高いんだよね。

 ただ、俺は圭佑がヒデに似ていると思ったことは全然ない。それだけ圭佑の飛躍が化け物みたいだってこと。今は本当にすごい選手だけど、出会った頃はそうは思わなかった。人はそれだけ変われるってことだし、みんなに大きな夢を与えた。それは尊敬に値するよ」

――本田選手は中田氏に比べてコミュニケーション能力に優れていると言われますが。

「ヒデは物凄く繊細な男だからね。それに圭佑よりは寡黙だし。圭佑はもともと話すのが好きだし、有言実行っていう姿のカッコよさを見せてくれた。それだけの自信があったんじゃないかな。確かにあいつは男から見てもカッコいい男だよ」

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