視聴者に不親切な中継
と、ここまではいい。問題は放送の仕方である。普通ならあるべきはずの重要な要素がいくつか欠けているのだ。
まず実況はタイ語の解説者が付く時と付かない時がある。解説者がいない時はどうなっているのかというと、日本の実況がそのまま聞こえてくるか、もしくは試合会場の音声以外、何も流れてこないかのどちらかだ。
そして時間と得点表示もない時が多い。もし解説がいなくて、途中から視聴したり、チャンネルをザッピングしてしばらく中継から離れようものなら、今、何対何なのか、前半なのか後半なのかも分からなくなる。試合終了時もスコアは特に表示されないので、途中から見た人はリプレイ映像から結果を想像するしかない。
対戦カードは中継の冒頭とハーフタイム時のCM明けに表示される以外、試合中は画面下にうっすらと白くタイ語で書かれているだけであったり、要はグラフィック的な要素が何もない試合が多いのだ。
印象に残っているのは会場の生音声だけ放送されていた、Jリーグ第2節の鹿島アントラーズ対ベガルタ仙台戦。
3対2で鹿島が勝利したこの試合、前半に鹿島がダヴィのゴールで先制し、後半開始早々に仙台が1点を返すと、すぐさま鹿島が2点を追加して突き放したのだが、ハーフタイム中にチャンネルを変えてしまった私は、しばらくしてチャンネルを戻した時、スコアの変化に気付かなかった。結局、ツイッターを通して後半序盤の激しい点の取り合いの模様を知った。
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