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Jリーグ 12年前

史上最強の大宮はダービーを制し強豪クラブへと生まれ変われるか?

text by 粕川哲男 photo by Kenzaburo Matsuoka

浦和の武器である3バックが実は狙い目?

 大宮のそうしたスタイルは、今回のダービーでも存分に発揮されるはずだ。3バックの一角である槙野、森脇の攻撃参加は浦和の特長のひとつだが、諸刃の剣でもある。前節の湘南戦でも、ビルドアップのパスを奪われて一気にピンチを迎える場面が何度かあった。

大宮の選手たちには、コンパクトな陣形のなかで浦和のボールを奪い、そこからの素早い攻撃で3バックの背後を突いてゴールを決める。そんなイメージがあるに違いない。

 ノヴァコヴィッチとチョ・ヨンチョルは万全とは言えない状態だが、決定力と献身性を誇るズラタン、高さのある長谷川、速さのある富山がいるので、前線の破壊力は落ちない。堅守を支え、機を見たオーバーラップで攻撃にも絡む高橋の出場停止は痛いが、片岡には対人プレーの強さだけでなく、残留争いを勝ち抜いてきた精神的な強さもある。

 いずれにしても、今回のダービーは熱戦必至。J1通算対戦成績は大宮の6勝5分5敗とほぼ互角で、両者が上位で激突するのはJ1史上初。2008年、8位の大宮と3位の浦和が過去最高位の対戦で、大宮にとってはダービーが降格圏脱出の契機となっていた。

それだけに選手たちは、上位で迎える今回のダービーは「お互いにとって素晴らしい」と口を揃える。両チームとも開幕から無敗で迎えるJ1通算17回目のダービーは、さいたまに限らず日本全体を盛り上げ、大宮と浦和の新しい歴史を紡ぎ出す転換点になるかもしれない。

【了】

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