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確立された対バルサ戦術とメッシ封じ。「バルサ対策」への「対策」は可能か?

text by 西部謙司 photo by Kazuhito Yamada / Ryota Harada

メッシ対策とカウンターアタック

 ここからは最近のCLの試合を例に、バルサ対策をみてみよう。守備面で効果を上げていたのがホームでバルサに勝ったときのACミランである。

 ミランはメッシ対策が効果的だった。メッシが常に狙っているのはボランチの斜め後ろのポジションでパスを受けることだ。一番近い敵のボランチの視野から外れていて、二番目に近いCBからはまる見えだが距離が開いている位置だ。ここで速いパスを受けられれば、ボランチのマークはすでに外れている。CBが前に出てきてもメッシならばかわす余裕は十分。決定的なプレーに移行できる。

 そこで、ミランはボランチとCBの間隔を短くとった。面前でのバルサのパス回しには食いつかず、全体を中央に集めている。サイドを思い切って空けてしまうのもバルサ対策の定番だ。

 サイドからのハイクロスはあまり恐くない。中央のスペースを埋めるのが先決である。さらに、メッシにパスが渡りそうなときはCBがラインより前に出てマークし、それでもボールが通ってしまったらボランチ、CB、中央のボランチの3人で人壁を作ってカットインのコースを遮断した。

イブラヒモビッチ
想定外だったイブラヒモビッチの存在【写真:原田亮太】

 攻撃面では、パリ・サンジェルマンが2試合で3ゴールを記録している。第1レグのPSGは前線へのロングパスを多用した。バルサの守備戦術は前線からプレスをかけて相手の判断力を奪い、ロングボールを蹴らせてカットするのを得意としている。

 ところが、PSGにはイブラヒモビッチがいてボールを収めてしまうので、十八番である早期のボール回収が機能しなかった。第2レグでのPSGはあまりロングボールは使わず、ショートパスでバルサのプレスをいなし、カウンターアタックを繰り出した。

 これはバルサにとってはより想定外の事態と言っていい。CKなどセットプレーにおける空中戦もPSGが有利だった。攻め込みの回数が増えたことで、バルサのファウルも増え、PSGの空中戦は脅威になっていた。

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