同点で迎えた試合終盤に投入されたワケとは
J1の第6節、大分トリニータが地元の大分銀行ドームに鹿島アントラーズを迎えた試合は後半23分に森島康仁の豪快なゴールで大分が追い付き、2-2で終盤に突入。大分の田坂監督は後半の43分、3枚目のカードを切った。松本昌也はJFAアカデミー福島から加入した、地元・大分出身の新人MF。これが彼にとってJリーグのデビュー戦となった。
その時間帯まで攻守に奮闘した西弘則と交替で入り、左アウトサイドに回った松本は高い位置でパスを受ける姿勢を見せるが、勝ち点3を奪いに攻勢をかけてくる鹿島に押され、自陣に下がりながらの対応を強いられる。そしてロスタイム、相手が選手交替を行った直後のリスタートから失点。大分は3連敗、開幕から6試合勝利なしで最下位となった。
鹿島を相手に、勝ち点3にこだわったことを認めた田坂監督だが、大事な時間帯における松本の起用に関しては「育成という側面もある。練習から良い動きをしているし、スキルも高いものを見せてくれている。ただ、もっと積極性が欲しいというか、そういうものは実戦を経験していかないと身に付かない」と語った。
“積極性”という言葉を松本に照らし合わせる時、思い起こさなければならない大会がある。昨年の11月に中東のUAEで行われた U-19アジア選手権において、ボランチのポジションで4試合全てに先発出場したが、準々決勝でイラクに惨敗。チーム全体として戦う姿勢に欠けていることを印象付けたU-19日本代表は、3大会連続でU-20W杯の出場権を逃す事態となった。
この大きな損失を取り返すには、個々の選手が強い自覚を持ち、Jリーグなどで飛躍して行く他にない。イラク戦の後に話を聞くと、「高い位置でボールを持っても、そこからパスの出しどころが見つからず、必要以上に切り返してしまった。そういう場面でも、もっと仕掛けて、シュートを狙っていくべきだと思います」と反省の言葉を口にした。
鹿島戦から3日が経った16日。午後の練習を終え、しばらく仲間たちと自主練に励んだ松本に話を聞いた。