同じアジア人として香川には絶対に成功してほしい
前出のウ記者はこう語る。
「『香川がマンUでどれくらい結果を残せるのか、見せてもらおうか』と見ている韓国人がほとんどだと思います。ですが、韓国記者たちはそう見ていない。昨季、ブンデスリーガでプレーしたソン・フンミン(ハンブルガーSV)、ク・ジャチョル(アウクスブルク)は十分な結果を残せませんでしたが、香川がドルトムントを優勝に導いた原動力になったのは紛れもない事実です。リーグ優勝に貢献するのは外国人選手として簡単なことではありませんからね。香川はチームプレーを重視する選手で、スピードとテクニックもあります。ブンデスリーガで成功できたのは、チーム戦術にフィットしたこともあるでしょう」
さらにウ記者は香川のポジションについても言及した。
「香川が最も輝きを放つポジションは、トップ下だと思います。しかしながらフィジカルの強い選手が多いプレミアで、どれだけ通用するのかは未知数で、これから見守る必要があると思います。マンUでパク・チソンが成功できたのは守備的な役割を任せられ、それをまっとうできたからです。香川はパク・チソンと違い、攻撃的な能力を発揮しなければならない選手であるのは明らかで、生き残るために自分の武器をしっかりと形にできるかどうかが、成功の鍵になると思います」
香川が成功するか否かは、シーズンが始まってみないとわからないとしながらも、「同じアジア人として香川には絶対に成功してほしいし、パク・チソンにはしっかりと山を下ってほしい」と語るのは、長らく韓国のサッカー専門誌『ベストイレブン』記者を務め、現在はイルガンスポーツに籍を置くソン・ジフン記者だ。
「マンUのFWウェイン・ルーニーのような絶対的なエースでなくとも、香川は価値のあるプレーヤーに成長すると思います。こうした女性問題が取り上げられるのも、香川が大物選手である証拠ですよ(笑)。パク・チソンがQPRに移籍したのは残念です。それでもプレミアリーグにいることに変わりはありません。頂点に立てば、いつか降りるときが訪れる。その降り方一つで選手の価値が変わると思います。香川とパクの活躍で、プレミアでのアジア選手の見方がもっと変わっていくことを願っています」
香川とパク・チソンがマンUで同じピッチに立つことは叶わなかったが、対戦相手として顔を合わせることもあるだろう。
新シーズンでは、ともにアジアを代表する選手同士、次は世界を驚かせるプレーでメディアをにぎわせてもらいたいものだ。
【了】
初出」:欧州サッカー批評6