アジア最高のプレーヤーの座を香川に奪われた
ウ記者が続ける。
「『アジア最高のプレーヤーの座を香川に奪われた』という悔しい気持ちの表れです。世界有数のビッグクラブでパク・チソンがプレーしていることは韓国人にとって誇りでしたが、その象徴を失ってしまった。まだプレーできるにもかかわらず、韓国内では『追い出された』と考えるサッカーファンが大半で、マンUに不満を抱いている人もいます。
また、『なぜ香川がマンUに入団できたのか分からない』という意見もあり、ブンデスリーガで残した結果を懐疑的に見ている人が多い。それほど、パク・チソンに対する信頼は韓国では絶対的な存在なのです」
Jリーグの京都サンガF.C.からプロとしてのキャリアをスタートし、02年日韓W杯で韓国のベスト4に貢献。オランダのPSVアイントホーフェンからマンUへ移籍したパクの輝かしい成功は、韓国人のプライドの一部分なのだ。そうした感情に触れた話題だけに、心中は穏やかではいられないのだろう。
だが、イルガンスポーツのパク・リン記者は、香川の移籍を次のように見る。
「昨季のパクは、アシュリー・ヤング、ルイス・ナニ、アントニオ・バレンシアなど若手の台頭で十分な出場機会を与えられていません。厳しく見るならMFとしてもマイケル・キャリックやライアン・ギグスの壁を越えられなかった。香川の加入がパクの移籍のきっかけとは言い切れませんが、少なからず影響があったのは確かでしょう。ですが、私は昨季のパクの結果を判断されての移籍だと思います。いずれにせよ、韓国で香川に対して敏感なのは、プレミアで成功できるかどうかに注目しているということです」
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