次の一手を打ちやすい状況にある
サイドハーフにはビルドアップの段階では中に入らないように指導し、ボランチには前線に飛び出さないように告げ、トップ下の選手には左右に流れて顔を出さないように注意する。とりわけ、日本の武器である細かいパスワークを嫌がる傾向は強まっている。
ある程度完成されていたチームをうまく生かし、選手の能力を引き出した柔軟な一面と、自らの戦術や独自のシステムにこだわる戦術家の一面――。ザッケローニ監督の真骨頂は、一体どちらの側面なのか。
いずれにしても、「これまでやってきたことをぶつけ、現在地を測る」と話していた12年10月の欧州遠征でブラジルに0-4で敗れ、アジア最終予選でもヨルダンに敗れたことを受け、次の一手を打ちやすい状況にあるのは間違いない。
ヨルダン戦で試した香川真司のトップ下起用は、今後のチーム作りの鍵を握るのか、本田圭佑が欠場した場合のオプションでしかなかったのか。本大会までの1年間で、再び3-4-3にチャレンジすることはあるのか。ポゼッションスタイルへの傾倒を容認するのか、これまで以上に嫌うのか。新戦力の抜擢はあるのか……。
6月のオーストラリア戦、イラク戦で勝点1でも積み上げれば、W杯出場が決まる。その後、6月半ばからはブラジルで行われるコンフェデレーションズカップに参加し、秋には、再びヨーロッパへの遠征も予定されている。
そこで、ザッケローニ監督の本当の顔が見えてくるかもしれない。