J2中位を目標に掲げるクラブの現実
事実、低迷した昨年は、開幕前に朝日大輔、山瀬幸宏という攻撃の核を長期離脱で失い、さらにFW陣にけが人が集中したことで深刻な得点力不足に陥った。決定力のある外国人ストライカーが一人でも獲得できれば解決できたのかもしれないが、遠征費の問題でアウェイにベンチ入りできる7人全員が帯同できないことも珍しくないクラブに、そんな解決策を臨むのは酷というものだ。
J1昇格ではなく、J2中位を目標に掲げるクラブの現実が、そこにはある。現在も足助翔や御厨貴文といった最終ラインの中心選手が負傷離脱し、第7節栃木戦では中盤のソ・ヨンドクも欠場するなど、チームの台所事情は徐々に苦しくなっている。
しかし、そういった苦境をもチャンスと捉えてしまうのが安間貴義という人物の強みだ。
「無いものを嘆いても仕方がないですから。むしろそれは何かが生まれるときだと思っています。僕はそこから何かを作り出していく開拓者でありたい」
今月、カターレ富山は神戸やG大阪などの強豪クラブとの対戦を迎える。昨年までの定位置に戻らない為にも、ここはチームとしても踏ん張りどころといっていい。この勇気ある異端者が、どんな発想でこの苦境を打開していこうとするのか。注目したい。
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