厳しい台所事情をチャンスに変えようとする安間監督
序盤戦のハイライトは、第5節の京都サンガ戦だろう。
首位・神戸に4-1で大勝して波に乗る京都相手に、中盤での局地戦の攻防では一歩も引かずに応戦した。後半には地力に勝る京都のパスワークに後手を踏んだが、最終ラインが粘り強く守り続け、攻め上がっていったヨンドクが豪快にシュートを突き刺した。チームに自信を与えた会心の白星となった。
試合後、敵将・大木武監督も、人が飛び出してくる富山のサッカーには舌を巻いていたようだった。安間監督とは、甲府時代に監督とコーチという師弟関係という間柄としても知られている。富山のサッカーの変化についてこんな感想を監督会見で口にした。
「去年よりもサポートが増えたように思います。1つのボールに対して受けにくる選手がいて、そこから次のボールがどんどん出てくる。そこでワンクッションあるので朝日くんなんかは捕まえづらい。特に前半はうまく走られてしまった。
1本、2本とパスが入る時に朝日くんはもう動いていて、流れた状況で受けるので、そこで時間ができる。さらに後ろからサポートが入ってきて攻撃が続くという形がみえて、攻撃に厚みがあった。成長しているなんていうとおこがましいが、色が変わってきている印象は受けた」
3年計画でチーム作りを進めてきた3年目の今季、ピッチ上で展開されている変貌を注視すれば、安間監督の率いる今季のカターレ富山が正しい方向性で前進し始めていることは間違いないだろう。
しかし、だからといってそれで勝てるほどJ2は甘いリーグではない。ここまであげた3つの白星は全て1点差での勝利であり、2得点以上奪った試合は開幕戦のみだ。追加点を奪える得点力を上積みしていかなければ、今後も苦戦は続くだろう。
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