解禁した後ろでのつなぐパス
安間監督はその秘密をこう明かす。
「実は去年までは後ろでつなぐことを禁止にしていました。だけど、本当はパスをつなぎたいので、その練習をずっとしていて、溜めておいて溜めておいて、今年になって解禁したんです(笑)。去年とはやっているサッカーが180度違いますが、数ヶ月でできるようになったわけじゃない。ウチには1年目、2年目の積み重ねがある」
安間監督が選手達にかけた“魔法”というのは、実は日々の練習で地道に取り組んでいたトレーニングの成果だったというわけだが、それを公式戦では2年間”封印”していたところが面白い。しかしまだまだその”牙”を磨き続けていかないと安間監督は話す。
「だいぶボールは動かせるようになってきたと思います。ただ味方に当てるまでのパスを早くしていきたいし、もっともっと簡単にやっていかないといけない。そこはまだトライしている最中です」
富山の練習場で行っているトレーニングを見ると、対面でのパス交換にはかなりの時間を割いて行っている。ボールを動かす際には安間監督からは「回転を大事に」、「一発で動けるように」と強弱や角度の付け方に細かい指示が飛ぶ。そしてときには、こう付け加えていく。
「それだけでサッカーは変わるぞ」
2年間の潜伏期間を経て鍛え上げてきたパスワークの土台は、3年目にしてようやく解放できる段階にきた。そしてこれをどういうサッカーで勝ちに結びつけるのか。
そこを読み解くヒントは、冒頭で安間監督が語っていた、“11人ではなく、一人多い12人でプレーしているように相手に見せる”という発想と、ピッチ上に並ぶ選手の配置にあるようだ。