セレッソ大阪の象徴“8番”を背負った柿谷の充実
心技体の充実――。
現在の柿谷曜一朗の好調を支えている要因はこの言葉に尽きる。
1つめの“心”の充実は、今季の開幕前後からあらゆるメディアで取り上げられているように、C大阪の象徴である8番を背負ったことが大きい。
「森島さんから『8番をつけてくれないか?』と直接言われた時は泣きそうになった」という新体制発表時の言葉に象徴されるように、幼少期からC大阪の下部組織で育った柿谷にとって、C大阪の背番号8は何ものにも代え難く特別。
「これまで、森島さんに認められるためにサッカーをやってきたようなもの」とまで言い切り、まさに自身が思い描いていた状況にたどり着いたと言える。さらに、「“セレッソの8と言えば柿谷”と言われるくらいに(価値を)高めたい」との意欲も語る。
また、近年、下部組織から続々とトップ昇格選手を生み出しているC大阪において、柿谷はその長兄的存在。練習前後に山口螢、扇原貴宏、南野拓実ら“弟分”とボールに戯れることも多く、ロングキックからのトラップを柿谷が“遊び”の中で実践すると、「スゲェ」という声が自然と上がり、他の3人がトライするシーンも見られる。
練習場や練習から離れた場所で後輩と接している何気ない行動や仕草からも、彼の“心”の充実ぶりは見て取れる。
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