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バイエルンはなぜユベントスを圧倒できたのか? ドイツ王者の強さに迫る

text by 河治良幸 photo by Kazuhito Yamada

クラブ一丸で挑むビッグイヤーへの戦い

 高い位置から連動するプレッシングは高い確率で相手の攻撃を分断し、そこを掻い潜られても守備陣がしっかり縦を切りながら、前方の選手が素早くプレスバックしてボール保持者を挟み込む。そうした動きをリベリーやロッベンといったスター選手にもしっかり求めることで、チームの戦術意識に溝を作らせないベテラン監督の指導力は実に見事だ。

 そして何度かサイドを起点に作られた、自陣のゴール前での厳しい局面でも、決して慌てない両センターバックとその背後を守るGKノイアーの振る舞いも見事だった。特にこの日はユベントスの攻撃陣が、パスワークよりも果敢なドリブルからシュートを狙ってきたため、冷静に手前のポイントを押さえ、コースを限定してからチャレンジ&カバーで封じ込めた。

 それに対して攻撃は、リードしていたこともあり大きなリスクをかけることはなかったが、ワイドな展開からリベリー、ロッベンの仕掛けに複数の選手が連動してバイタルエリアに入り込む。

 個人と組織が融合したチャンスメークはユベントスの守備陣を苦しめ、逆転を目指すホームチームが記録した10本を上回る17本のシュートを記録。その内の10本がゴールマウスを捉えた。

 タレントの顔ぶれを見ても欧州トップクラスだが、彼らを集団として1つにまとめるハインケス監督と首脳陣を見ると、このシーズンにかける強い意気込みを感じさせる。まさにチーム一丸、いやクラブ一丸といった様相だ。

 すでに国内で3シーズンぶりの雪辱は果たした。あとは00-01の戴冠から12シーズン遠ざかっているビッグイヤーを手にするため、バイエルンの“本気の戦い”は続く。

【了】

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