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PSGの徹底した対策に苦しんだバルセロナ。それを打ち破ったメッシの“個の力”

text by 北健一郎 photo by Kazuhito Yamada

PSGに先制され、ビラノバはメッシを投入

 0-0で迎えた後半、試合が動く。50分、パストーレがイブラヒモビッチとのパス交換から左サイドの裏に抜け出し、GKとの1対1を流し込んだのだ。このまま終われば、PSGが決勝進出となる。バルセロナのビラノバ監督は、失点から7分後、セスクに代えてメッシを投入する。

 メッシはピッチに入った直後から高い位置でボールを受けて、積極的にドリブルで仕掛けて行った。メッシが2、3人を引き連れることでPSGのDFブロックが崩れて、スペースができる。61分まで整っていたPSGのディフェンスにほころびが目立ち始めた。

 そして71分、メッシを起点にゴールが生まれる。右サイドから中に入ってビジャに当てると、ビジャがDF3人に囲まれながら後ろに戻す。このボールをペドロが左足で豪快に蹴り込んで、1-1。アウェイゴールのためバルセロナはこのままでも勝ち上がることができる。

 得点が必要になったPSGはベッカムを入れてパワープレーに出る。ベッカムを中盤ではなくDFラインに置いて、そこから前線のイブラヒモビッチにロングボールを当てるという狙いがあったのだろう。単純な空中戦になればPSGのほうが有利だ。しかし、パワープレーは思ったほどの効果をもたらさなかった。

 なぜなら、バルセロナの前線の選手がベッカムに対して激しくプレッシャーをかけていったからだ。ベッカムはキックモーションが大きいので、ボールを蹴るまでに時間がかかる。その間に寄せていき、ベッカムの前に入ることで良いボールを蹴らせなかった。

 結果的に試合は1-1でタイムアップ。バルセロナが6シーズン連続のベスト4進出を決めた。しかし、ミラン戦の2ndレグも、今回のPSG戦もメッシ以外の選手からゴール生み出すことができていない。準決勝の対戦相手も“バルサ対策”を行ってくるのは間違いないだろう。バルセロナの頂点への道は決して簡単なものではない。

【了】

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