戦術の幅を広げるために必要な新戦力は誰か?
③「戦術的なバリエーション」に関してはザッケローニ監督が“カメレオン”に例える通り、本当は現時点でいくつかの戦い方を柔軟に使い分けられる様になっておきたかったが、やはり代表という限られた期間、そして一度解散すると空いてしまう環境の中で、クラブでの経験が豊富な指揮官にも予想以上に難しくなったことだ。
その最たる例が現在“棚上げ”になっている[3-4-3]の実戦採用だが、一口にシステムと言っても相手の形や攻守のバランス、攻撃の方向性など用途は多岐にわたる。その中でザッケローニ監督がどういう状況でどういった形、スタイルに切り替えるかが明確に定まってはいない状況だ。ただ、アジアカップの様に大会レベルで戦う中で醸成されていくものでもあるため、コンフェデレーションズカップで色々なものが見えてくる期待はある。
④「選手層のアップとオプションの強化」に関する選手層のアップは、最終予選を戦う中で“保留状態”にある五輪世代の組み込みを含め意欲的に取り組むべきポイントだが、特にオプションは岡田前監督が言うところの“異物を入れる”という表現が分かりやすい。
アジア予選を突破するまではある程度、チームのコンセプトを高いレベルでこなせる選手で、ベースを構築してきたが、そこから先はベースアップに加えて、戦術にバリエーションをもたらせる選手、勝負所で頼りになる選手、状況を打開できる選手、リズムを変えられる選手を発掘し、戦力化していく必要がある。
分かりやすいのは、招集経験のある選手で言えば宇佐美貴史や宮市亮、未招集では豊田陽平や闘莉王、柿谷曜一朗など。また中盤にインテンシティをもたらせる山口螢なども単純にボランチの3番手、4番手を厚くする以上の意味があるはず。
そうした戦力を最もテストしやすいのは7月に予定される東アジアカップか。ただ、あまりにガラリと構成が変わっても、単なる個の発掘で終わりかねない。欧州の選手やJ2で戦う今野や遠藤の招集は難しいが、願わくは最低限の背骨になるところに既存戦力を入れ、そこに新戦力を加えて試す様な体制でテストしていくのが望ましい。
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