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Jリーグ 12年前

優勝目指すも結果の出ないFC東京。5節までで見えた高い機能性と弱点

text by 後藤勝 photo by Kenzaburo Matsuoka

ポポヴィッチが高く評価する渡邉千真

 3日のナビスコカップ対名古屋グランパス戦を前に練習場の小平グランドを訪れた際、ポポヴィッチ監督に「対マリノス戦では、おれがおれがと我を出すのではなく、チームメートを活かしながら、賢い判断のもとに攻撃ができていたと思うのですが、いかがですか」と訊ねると、こう答えた。

「それが、自分たちの目指しているものです。チーム力が自分たちの特徴だと思っています。個人の力だけに頼ってしまえば、その選手がけがをしたり抜けたりしたときに力を出せない。すごく手間がかかりますし、非常に難しいことでもあると思うのですけれど、コレクティヴに戦うということ。そして個人の力をその中で活かすということが大切です」

 評価されているのはそれらの部分、主に連動した組織的な、相手守備を「崩す」攻撃だ。プレミアリーグ帰りの李忠成とのライバル関係を煽られがちな渡邉千真が前線の軸として確立したことで、東京のスタイルがより鮮明になってきている。

 今、東京の前線は、4-2-3-1の「3-1」の部分が、守備陣の攻撃参加も含めて「渦」のようにぐるぐると入り乱れ、相手を揺さぶりながら、フィニッシュの局面に立ち会った人物がゴールを決めている。

チーム最多の4得点と、結果的に自身のゴールが多くなっているが、その渡邉にしても、常に味方を使いながらパスとドリブルで形成された「流れ」の中でシュートを撃っている。もちろんシュート意欲は高く、連動できなかった対大宮戦では、浮き球にヘディングで合わせてゴールに迫った。

「昨年は背後にボールを引きだし、受けてシュートという場面が多かったのですけれど、今はゲームの流れに顔を出してそしてまたフィニッシュに絡んでいくプレーができています。すべてを兼ね備えた選手に近づきつつある。彼の出場機会がないときにやってきた努力が、ここでしっかりと実っていると思います。

自分の体に染みついてきた習慣や癖はなかなか抜けません。今結果を出しているカズマがあるのは、それにふさわしい努力をしたからこそ。昨年との違いを見て驚いている人は多いのではないでしょうか」
 ポポヴィッチ監督は渡邉の昨年との違いをこう評している。

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