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バルサを苦しめたビルバオのサッカーはいかにして生み出されたのか(後編)

text by 編集部 photo by Kazuhito Yamada

イングランドに近いビルバオの気質

バルサを苦しめたビルバオのサッカーはいかにして生み出されたのか
タフなスタイル、気質を持つビルバオ【写真:山田一仁】

――気質ですよね、ビルバオっていうチームは。他のスペインのクラブと比べて、ドイツだったり、イングランドのクラブに割と近いようなタイプの選手がいるイメージです。

西部 ビルバオ自体はすごく古いチームなんです。それこそレアル・マドリー、バルセロナと並ぶくらいリーグ創設時は名門チームでしたから。というのも、1つは気候がイングランドに似ています。年間90%は雨か、曇と言われていて。滅多に晴れないんです。

 いつも雨が降っていて、地面が緩くて、っていう土地柄でやるには、あんまりショートパスとかテクニック主体のサッカーは向かないですよね。どーんと蹴って力づくでっていう感じになるから、やっぱりイングランドに似ています。昔のイングランド代表チームが遠征してビルバオに行くと、結構苦戦するというか、自分たちと同種のサッカーで驚いたっていうことはよくあったそうです。

清水 結構そういうのって自然淘汰されるのがサッカーの面白いところで。ドメスティックにやっていると、だいたいその環境を反映せざるを得ないじゃないですか。だから、ビルバオの中でパスを繋ごうとしていても、グラウンドに合わないから負けが込む。そうなると、勝てるサッカーってだいたい決まってくる。

 ただ、サッカーがグローバル化することによって、それで他の地域に出て行ってさまざまなチームと試合したりすると、勝てないことも起こってくる。それで変革せざるを得なくなったのが近年のビルバオかなっていう気がするんですよね。今までのやり方はバスク人らしいけど、それじゃ06年みたいに危ない時期を必ず迎えてしまう。技術を高めるためにどうするか、ということで今ビエルサが来ているのかなと。

西部 ビエルサのパスをつないでいくテクニカルな面は、ある意味ビルバオにはなかったところですけれども、すごく真面目なところと、タフなところはある意味、マッチしましたよね。

清水 この融合って面白いですよね。これまでになかったものと、今までの気質のミックスで。

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