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バルサを苦しめたビルバオのサッカーはいかにして生み出されたのか(前編)

text by 編集部 photo by Kazuhito Yamada

レアルに相性が悪いのはなぜか?

西部 攻撃をどうするという全体像は一言では言えないんですけど、基本的にはさっき清水さんが言ったように、縦に推進力の強いサッカーをします。ただ、ロングボールはあまり使わない。基本的には足元に入れてサイドをえぐって、中に詰めて入れる形が多い。

 もちろんワンツーを使って真ん中へ行ったり、ミドルを狙ったりって形はあります。けど、基本的には強いグランダーのパスを繋いでどんどん前にコースを作って、ボールを運んでいくサッカーですね。そして、守備はマンツーマン。攻撃も守備もすごくテンポが速いんですよ。プレーの強度が高い。相手がついていけないと、バラバラになってしまう。

――得意のハイテンポなペースでやれれば、ですね。

西部 マンツーマンで付くということは、どこでもプレスがかかるということです。1人かわしちゃえば楽ですよ。だけど、受けるときは、相手が寄せるも何も、すぐそこにいる状況だから。技術がないと、パスがなかなか繋がらない。

――ポゼッションを分断してしまう。

西部 で、取られるとビルバオの選手はどんどん走っていくから、それに付いていかなきゃいけない。だから攻撃も守備もすごくテンポが速いし、あまり休まない。これに巻き込まれると、分解されますね。逆に、ビルバオが分解しちゃう時もありますけど。

――例えばレアル・マドリー戦。

清水 そう。マンツーマンだから、間延びし始めたら止まらない。そういうシチュエーションに持ち込まれた時に弱いなと。特にマドリーってカウンターが強いチームだから、前線数人だけで攻めたり間延びの展開をむしろ得意としているところがあるんです。そこに持ち込まれた時に弱い。割と、マドリーはマンツーマンだから、マドリーの前線が仕掛けてくる流動性のある攻撃にも弱い。

――確かに勝っているイメージがないですね。

西部 まぁ、マドリーに勝ち越しているチームはないですよ(笑)。

清水 この間も5点取られて負けているので。まあ、マドリーに大差で負けるチームも結構ありますけど、そういうふうにやられるシーンは結構あるなと。

――カウンター型のチームにちょっと弱かったりっていうのが……。

西部 いや、どんなチームにも弱いですよ。だって、1対1で負けたら終わりだもん。

――1対1で勝つことが前提と。

西部 勝つことが前提です。少なくとも、1対1でスコスコ抜かれていたら試合にならない。

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