メッシの負傷で打開力の落ちたバルサ
しかし先制点は唐突に生まれる。決めたのは、やはりメッシだった。38分、コーナーキックのこぼれ球を拾ったダニエウ・アウベスがゴール中央からアウトにかけたスルーパスをDFラインの裏に落とし、それをメッシが左足のダイレクトシュートでゴール右隅に決めた。
アウエーで先制したことでバルセロナはスコア的にもメンタル的にも優位に立つ。バルサペースかと思われたが、落とし穴が待っていた。先制ゴールを決めたメッシが前半終了間際に負傷。ハーフタイムに交代してしまったのだ。
今のバルセロナは一言で言えばメッシで“持っている”。120%の集中力と、洗練された組織力で守ってくる相手の穴をこじ開けられるのは、メッシの個の力しかない。メッシがいなくなったバルセロナは、セスクを1トップに配置して起点を作るが、追加点を奪えない。
すると79分、PSGが同点に追いつく。フリーキックをチアゴ・シウバがヘディングで合わせると、跳ね返りをイブラヒモビッチが詰めた。シウバが触った時点でイブラヒモビッチは完全にオフサイドだったが、バルセロナの抗議は認められず。
それでも89分、バルセロナはセスクが縦パスをヒールで流し、飛び出したサンチェスが引っかけられてPKを獲得。これをシャビが落ち着いてゴール左隅に決めてバルセロナが2-1と勝ち越す。
ホームでバルセロナに敗れた場合、2ndレグで苦しい立場になるPSGは、前線に人数をかけてロングボールを入れ、パワープレーに出る。これが実ったのが後半ロスタイム。イブラヒモビッチが頭で落としたところをマテュイディが左足でシュート。相手に当たってコースが変わったシュートが、GKバルデスの逆を突いてゴールネットを揺らした。
2ndレグは、バルセロナのメッシが全治3週間と診断され負傷で欠場濃厚。PSGはマテュイディが累積警告で出られない。
ボールポゼッションを得点に結びつけるメッシがいなければ、バルセロナは点を取るためのアプローチを変える必要が出てくる。PSGのほうも、豊富な運動量で中盤を広範囲にカバーするマテュイディの不在は、攻守両面で影響が大きい。
来週のカンプノウでは、バルセロナのビラノバ、PSGのアンチェロッティの両監督がどのような戦術を仕掛けてくるのかも見どころになりそうだ。
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