ほぼ同数のチャンスだった前半
チャンピオンズリーグの準々決勝、1stレグ注目のカード、パリ・サンジェルマン対バルセロナの一戦がパリのパルク・デ・プランスで行われた。
PSGの先発には驚きがあった。昨年12月にロサンゼルス・ギャラクシーから加入した37歳のベッカムがスタメンに名を連ねたのだ。ベッカムのポジションは右サイドではなく中盤の底、ボランチ。
バルセロナはほとんどの時間を相手陣内でプレーする。ボールを奪われたときは自陣には左サイドバックのジョルディ・アルバ、センターバックのピケとマスチェラーノしか残っていない。
ベッカムを真ん中に置いて、ボールを奪った後、すぐにベッカムに預け、そこから正確無比なロングボールを、前線のイブラヒモビッチやラベッシに入れて素早く攻める作戦だ。これはアンチェロッティ監督がミラン時代にピルロを中盤の底に置いてやっていた、通称“ピルロ・システム”だ。
前半のPSGはバルセロナをあえて自陣に引きこむような守り方をしていた。ボールを持った選手に対しては、しっかりと間合いを詰めながらも、無理に奪いに行くことはせず、相手にボールを回させる。これを4バック+4人のMFの2ラインが忠実に行うことで、試合の均衡を保った。
マイボールになったときは深い位置からのベッカムのパスと、スピードのあるルーカスの長い距離のドリブルで薄くなったバルセロナのディフェンスを突く。実際に前半まではボールポゼッションこそバルセロナが上回っていたが、チャンスの数ではほぼ互角だった。
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