カギを握るライン間の距離
後ろは駒が揃っている。ボール奪取に優れたマテュイディ、ケガから復帰したチアゴ・モッタのダブルボランチは守備の強さだけをとれば欧州でも屈指だ。センターバックは一対一に強いアレックス、そしてこちらもケガから復帰したブラジル代表のチアゴ・シウバ。強固なブロックを形成することができる。
とはいえ、ディフェンスラインを下げすぎるのは危険だ。ベスト16のミラン戦、バルサが初戦で苦戦したのは、DFとMFのライン間をミランが狭め、バイタルに入ってきた選手をことごとく捕まえていたから。逆に言えば、2ndレグで完勝したのはライン間が開いてしまったことで自由にプレーさせてしまったためだ。
PSGとしては勇気を持ってDFラインを上げ、ボランチとのライン間を狭めることだ。一番危険なのはもちろんメッシで、ライン間でボールを受けたときには素早くチェックにいきたい。そのためには距離を5m以内に狭め、コンパクトさを徹底することは重要だ。
メッシがブロックの外、あるいはサイドでボールを受けるようになればOK。この位置であれば人数も足りているので止められる。危険だと思えばファウルをしても、高さがないバルサのセットプレーは距離のある位置、あるいはサイドであれば怖さは少ない。
バルサがサイドから崩そうとしてくるならば、釣り出されないよう我慢し、中央を固めることだ。かつてコペンハーゲンはサイドを放棄することで勝機を見出した。誰も釣り出されず、崩す手段がなくなればクロスしか選択肢はなくなる。中央に人数がいれば高さで有利のPSGが弾き返すのは容易だ。
ボールを奪えばラベッシ、パストーレの高速カウンターは脅威になる。加えてベッカムのセットプレーもある。選手層はミランよりもあるだけに、戦術がばっちりはまることも十分考えられる。バルサが再び初戦を落としても、何ら不思議ではない。
【了】