アジアカップの戦いは「日本らしいサッカー」だったか?
では、この07年アジアカップ・バージョンは「日本らしいサッカー」だっただろうか。
日本選手の特徴の1つとして、2タッチを主体としたパスワークがあげられる。3人のプレーメーカーはこの点でとくに秀でていて、この特徴は存分に発揮されたといえる。どの試合でも日本のボール支配は圧倒的だった。一方、常に押し込みながらも得点が少ないのも悪い意味での日本の特徴である。
その弱点も、そのまま表れていた。セットプレーでの得点の多さと同時にセットプレーからの失点も多い。これも日本らしかった。アジアカップの日本は、長所も短所もかなり「日本らしい」チームだったといえるのではないだろうか。
「日本らしい」プレーの結果、日本の成績は4位だった。カタールに引き分け、UAEとベトナムに勝ち、オーストラリアと韓国に引き分け(オーストラリアにはPK勝ち、韓国にはPK負け)、サウジアラビアに敗れた。「日本らしい」サッカーでは、アジアの頂点に立てなかったのである。
アジアカップの日本に欠けていたのは、まずフィニッシュの精度だった。すべての試合でボールを支配して押し込み、チャンスも作っていたのになかなか決められなかった。また、ボールを運ぶ作業に時間がかかりすぎてしまい、相手に完全に引かれた状態からの攻撃ばかりになっていた。サウジアラビア戦をはじめ、カウンターアタックに対する守備にも課題があった。
これらはすべて日本らしい弱点である。つまり、たんに「日本らしいサッカー」では足りないのではないか。日本の現状から長所を生かし、弱点をカモフラージュするチームを作るのは当然だが、そうした現状を超越したチームを目指す必要があるのではないか。それを痛感させられたのが07年のアジアカップだったと思っている。