強豪国との対戦生きる香川のプレースタイル
香川と本田の大きな違いは、前方にスペースがあるときに抜け出していくスピードの有無だ。香川はファーストタッチが良く、パス1本で相手DFと入れ替わって、前を向く技術に優れる。残念ながら、ヨルダン戦はピッチコンディションの影響もあってコントロールミスが多くなったが、ピッチが普通の状態であれば決定的なチャンスに結びついていたシーンは少なくなかった。
例えば、前半16分のプレー。ヨルダンのコーナーキックを奪って、ハーフウェーライン付近の香川につなぐ。香川は3人に囲まれながらファーストタッチで前を向いて、右サイドの前田遼一へパス。香川のパスミスでチャンスにならなかったが、もしも前田に通っていれば、走り込んだ香川がリターンを受けてシュートに持って行けたかもしれない。
このようなプレーは、香川がドルトムント時代によくやっていたもの。香川にはクリスチアーノ・ロナウドやベイルのように独力で何10メートルも持って行くようなドリブルはないが、前線にいる1トップの選手と絡んでいくことでゴールに向かっていくのは慣れている。
強豪国と戦うときは自陣に押し込まれる時間も長くなることが予想され、パスを組み立てながらチャンスを作れない状況もあるはず。そのとき、前線に香川を置いてスピードに乗ったカウンターを狙っていくのは現実的なオプションになるだろう。
もちろん、本田と香川が2人とも良い状態でプレーできればベストだが、これから1年以上先のことは誰にもわからない。香川のトップ下を置くことによって、本田にはできない攻め方が見えてきたという点では、未来につながる敗戦だったと言えるのではないか。
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