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【インタビュー】アンドレス・イニエスタ ~“真”無敵艦隊の矜持、タイトルへの飽くなき渇望~

text by ヴァンサン・マシュノー photo by Kazuhito Yamada

受賞を逃したバロンドールへの思い

――ロハ(スペイン代表)が敗れる日が、近いうちに来るのでしょうか?

「なるべく遅いことを、僕は願っているよ。この3月( 26日、W杯予選、スタッド・ド・フランスでの対フランス戦)ではなくてね。考えないようにはしている。 ただ、試合の前には恐れを抱くことも必要だ。あくまでも括弧つきの『恐れ』だけど。つまり僕らは世界チャンピオンで欧州チャンピオンであり、しかもずっと長い間負けていないから、絶対に勝てると過信してはいけない。そうではなくて、反対のことを考える。つまり今の強さを失う日がいつか来る。無敗記録に終止符を打ち、どこかに敗れる日がいつか来ると」

――ロンドン五輪では∪ 23スペイン代表が惨敗しましたが、ひとつの前兆として捉えていますか?

「いや、あれは比較の対象ではないね。1つの試合、1つの大会では何でも起こり得るということの証明にすぎない。たしかにチーム間の格差は徐々に縮まっている。僕らにしても全力で戦わなかったら、世界にあまた存在する優れたチームに負けてしまうだろう。それは間違いない」

――今回も残念ながらバロンドール受賞を逃しました。獲得したいという強い思いはありますか?

「(微笑んで)いや、そこまで真剣には考えていないよ。それからバロンドールに関しては、僕はいつも同じことを言っている。つまりあの賞は、選手にとって究極の栄誉だってことさ。自分が選手として世界で最高であると評価される。その価値といったら…」

――昨年はUEFA最優秀選手には選ばれましたが、バロンドールではメッシとロナウドを上回れませんでした。

「彼ら2人と同列に並べられただけで大変な名誉だ。それほど2人は凄いからね」

――2010年に逃したのはとても残念だったのでは?

「いや、失望とは言いたくない。あのときも、(メッシ、チャビとともに)候補者の3人に選ばれた。獲得したのはレオだったけど、彼には敬意を表しているよ。心から祝福もした。あそこで受賞できなかったのが僕の人生だということさ。もちろんいつの日にか、獲得できたらどんなに素晴らしいかというのは否定しないけど、獲れなくとも人生が終わるわけじゃない。幸運なことにね(笑)」

【了】

プロフィール

アンドレス・イニエスタ・ルハン(Andres Iniesta Lujan)
1984生まれ、スペイン・ラ・マンチャ州出身。アルバセテの下部組織を経て13歳でバルセロナへ加入。2002年にトップチームデビューを果たすと、チームの中心選手として牽引。リーグを5度、CLを3度制覇する。2006年には代表初招集。ユーロ2008、2010年W杯、ユーロ2012、と近年のスペイン代表の優勝のすべてを経験。代表通算71試合11得点。ワイナリーも経営し、そこでのワインは日本でも購入することができる。

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