カナダ戦決勝点のハーフナーは切り札
1トップの前田も中盤のリズムが悪く、トップ下の香川も消されたことで、一発で彼に当てるロングボールが多くなり、相手センターバックの強靭なマークをもろに受けたことは確かだ。
ただ、そこで裏を取りに行くことでDFラインを下げる、粘ってボールをキープすることで味方の上がりを引き出すといった働きが不十分で、粗削りながらその役割を果たし、しかも決勝点をあげたハーフナーとは対照的だった。
もっとも、前田がカナダ戦の反省点をヨルダン戦に活かせば、本来の能力から考えて、より高いパフォーマンスでチームを引っ張ることはできる。これまで重要な試合における実績から考えればやはり前田の先発が順当で、ハーフナーは攻撃に勢いをもたらす切り札としてベンチに置くメリットも大きい。
ここはザッケローニ監督の前田に寄せる信頼が起用法に直結しそうだ。残る川島、吉田、遠藤、長谷部、岡崎はよほど当日の状態が悪くなければスタメン確実か。発熱の影響でカナダ戦を欠場した今野はコンディションの回復次第だが、彼の経験値を考えれば体力の目処が立てば先発で吉田とコンビを組むだろう。
「(W杯出場を)後回しにできないところがあり、私にも選手にもプレッシャーはある」(ザッケローニ監督)という日本代表にとって、凸凹のピッチや“中東の笛”といった厳しい環境が予想される。
カナダ戦に関して「2か月ぐらい代表チームの活動が無い中で、チームとしてのコンセプト、戦術練習をやっていく上で、もしかしたらそれがぎこちないものになってしまったのかもしれない」と指揮官は語るが、ヨルダン戦は日本代表のスタイルを発揮しながら、展開に応じた柔軟な試合運びも求められる。
ホームのヨルダン代表は間違いなくタフな相手だが、ブラジルに向けて大きく翼を広げるためにも、大会の決勝戦のつもりで勝利にこだわってほしい。
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