「秋春制はJクラブを辞めてくれと言っているようなもの」
3月10日にコンサドーレ札幌のホーム開幕戦を取材したが、当日は暴風雪という悪天候だった。普段、地方クラブの取材をするときはレンタカーで回るのだが、タクシーの運転手に「絶対にやめたほうがいい。私たちも慎重になるんだから」と言われてひるんだ。
氷点下2℃。肌を突き刺すような極寒の中、背丈よりも高い雪の山を這い抜けるようにして地下鉄に乗りこんだ。札幌市内は地下鉄網が発達しているため、雪が降っても地下にもぐればほぼ問題はない。
札幌ドームへも、宮の沢の「白い恋人パーク」専用練習場へも地下鉄一本でいけるからアクセスはよい。ただし、市外在住者は降雪があるとひとたまりもない。雪かきをしなければ生活に支障が出る。まず雪かきをしてから出勤する。それが積雪地の常識だ。
空路やJRが大幅に遅延したこの日、アウェーの栃木サポーターもやっとの思いで札幌ドームに駆けつけた。JRが運休・遅延していることに伴い、帰りの便に乗り遅れるのを避けるために泣く泣くハーフタイムで帰路につくサポーターも少なからずいた。
「ご覧のとおりですよ」
秋春制をテーマに話を聞くと、コンサドーレ札幌のサポーターたちは言葉に力をこめた。いずれのサポーターからも辛辣な言葉が飛んだ。
「北海道には“しばれる”という方言があるんですが、北海道の冬は、寒くて、暗くて、凍りついてひどい。その冬をじっと耐えて、私たちは今日という開幕を心待ちにしている。日本サッカー協会の人たちは、そういう私たちの気持ちを理解できるのでしょうか」
「秋春制はJクラブを辞めてくれと言っているようなもの。協会の人たちにはひと冬でいいから北海道に住んでほしい。そうすれば実感としてわかるはずだから」
「たかがJリーグの1チームと思われているのかもしれないが、私たちにとってはオンリーワンなんです。関係者に会ったら怒鳴りつけてやりたい気分です」