出来が良かったのは中村だが、ヨルダン戦のトップ下は香川か
“代役”候補を見ていこう。左サイドバックに入った酒井高徳は、何度か左サイドを切れ味鋭いドリブルで突破し、チャンスを演出。積極的にゴール前に顔を出し、攻撃に厚みをもたらした。危険な場面が少なかったとはいえ、守備も安定。体調が万全であれば長友の代わりとしてヨルダン戦でも先発濃厚だろう。
トップ下だが、前半と後半では多少役割が異なる。合宿中の練習でザッケローニ監督は選手たちに球離れを早くさせることを意識させていたことから、アウェイでのヨルダン戦における引いて守ったときのカウンターを想定していたはずだ。
それが前半のプラン。縦への展開力に優れた香川をトップ下に起用したのはそのためだ。相手があまり攻められなかったため、あまり効果を発揮しなかったが、鋭い場面もあった。試合後の厳しいコメントとは裏腹にまずまずの評価を与えただろう。
後半は中村をトップ下、香川が左に回ったことで、従来のポゼッションスタイルに戻した。中村はボランチがボールをつけやすい位置に動いてもらうことで、DFを引きつけ、それによって香川がフリーに。パスがつながるようになり、本来の日本らしさが出た。
出来が良かったのは明らかに後半だが、中村トップ下で上手くいくのは既にわかっていたこと。本命は香川トップ下の前半だと思われる。ザッケローニが本当に試したかったのはそこで、中村トップ下は最終確認に過ぎないのではないだろうか。
ヨルダン戦はW杯出場がかかる大事な一戦だ。何より重要視されるのは結果を出すこと。であれば、慎重派のイタリア人指揮官はまず守備の安定を図り、隙あらばカウンター、つまりカナダ戦で見せたような香川トップ下の布陣で臨むと私は見ている。
【次ページ】どこよりも早い日本代表採点