縦への強さがある酒井高徳
その駒野へ挑戦するもう一人の有力候補が、今月で22歳の誕生日を迎えた酒井高徳。左サイドバックで思い出されるのは昨年11月のオマーン戦。右太ももを痛めた内田篤人に代わる追加招集ながら、後半途中に投入されると果敢なオーバーラップを繰り出す。後半44分には高速クロスで岡崎の決勝ゴールに導き、その後の代表定着をアピールした。
細かいコンビネーションは現時点で駒野に及ばないものの、酒井には縦に仕掛ける力強さがあり、ハードなアップダウンを苦にしない心肺機能はチームにダイナミズムをもたらす。シュトゥットガルトで右サイドバックを主戦場とするが、従来の基本ポジションは左サイドバックだ。
「攻め上がるタイミングは右でも左でも気を付けているので、あんまり変わらないですね」と前置きしつつも、「右サイドより、中に入って右足で持てたりするし、いろいろバリエーションも増えて来ると思います」と左サイドでのイメージは強く持っている様子だ。
「いつも通りの自分の強みでもある攻撃のところは出したい。周りとも連携を深めながらアグレッシブにやっていきたい」と語る酒井高徳にとって、今回の様なシチュエーションはもちろん初めての経験だ。
カナダ戦に関しては「W杯の切符を狙って行く試合に向けて争えるポイント」とアピールの気持ちを強く持ちながら、「一番は勝って終わりたいと思っているし、勢いを持ってヨルダン戦に臨みたい」と、チームにとって大事な準備の試合になることも忘れていない。
ザッケローニ監督が年齢の離れた2人の起用をどう考えていくのか。まずはカナダ戦が試金石となるが、いい意味での競争をすることで、左サイドからヨルダン戦に向けていい流れを起こしていってほしい。
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