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なぜクリロナのドリブルにはキレがあり、メッシのドリブルは止められないのか?(後編)

text by 清水英斗 photo by Kazuhito Yamada

波打つ蛇のような動きでキックの緩急を自在に操るエジル


リズムが違うエジルのプレー【写真:山田一仁】

 サッカー解説者がエジルを評するとき、『プレーのリズムが他の選手とは違う』という言い方をするのを聞いたことがあるだろうか? 筆者もそれに賛成だ。

 確かにエジルがドリブルからボールを切り返したり、キックを行うタイミングは独特で、予測しづらい不規則なイメージがある。吉澤氏によれば、その理由は彼の体の使い方に秘密があるらしい。

「エジルはかなり特殊な動きをしている。体を縮めたところから伸ばし、背骨の反射で力を生み出しているのは他の選手と同じだが、彼の場合は背中のアーチが反った状態、後傾しているのが大きな特徴だ。足から頭までの全体が弾性のある波のようになっていて、その波打つ動きをゆっくりと行えば柔らかいキックになり、波の動きをビュンと速くすると強烈なキックになる。彼こそは緩急の名手と言える」


体全体が弾性のある波のようになっているエジル。ドリブルもトラップも、ボールをなめ回すようなコントロールをし、走りながらでも強いボールを止めることができる。

 体が波打つ動き―。言い替えれば、まるで蛇のような体の動き方と言えばイメージできるだろうか。

「ドリブルもトラップも、ボールをなめ回すようなコントロールをする。波を打つ動きでボールの勢いを絡め取るので、走りながらでも強いボールを止めることができる。さらに足の裏も、柔らかく波打つような弾性がある。あの柔らかさは一種の発明だと思う。あのような動きは見たことがない」

 エジルを見ていると、『その姿勢から逆方向へターンできるのか?』というような動きをすることがある。こうした動きも、足の裏の弾性を使ってジャンプ台のような力が働くことで可能になっている。非常に面白い選手だ。

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