『剛性』と『柔性』に分けられるサッカー選手の体の使い方
スポーツや武道の動きを研究する自然身体構造研究所所長の吉澤雅之氏によれば、サッカー選手の体の使い方は『剛性』と『柔性』の2つに分けられるらしい。剛性とは、体をバネのように使い、地面の反発力などをそのままパワーに変えて運動を行うタイプのこと。
例えばC・ロナウド、本田圭佑、ロナウド、ロナウジーニョらが剛性に該当する。彼らは一般的にキックの威力があり、切り返しのスピードにも優れる『キレキレの選手』であることが多い。しかし反面、緩急をあまりつけられないので運動のリズムが単調になる傾向がある。これが剛性の特徴だ。
もう一方の柔性とは、運動の勢いを吸収しながらプレーをするタイプのこと。例えばメッシ、シャビ、イニエスタ、エジル、香川真司、ピルロなどが柔性に該当する。彼らは運動を変幻自在にコントロールし、リズム感を複雑に変化させることができる。
ゴルフのアプローチにも似たピルロのキックは、同じフォームからボールの緩急を自由に操り、味方選手がスペースへ走り込むタイミングに対してフワッとしたボールをピタリと合わせることができる。このような繊細な動きは剛性の選手には難しい。それぞれに得意とする運動があるということだ。これらは本稿を読み込む上での基礎知識と捉えて欲しい。
「『メッシのドリブルがすごい』とみんなが言うけど、足とボールの動きだけでなく、彼の全身がどういう質感で動いているのか。それを見極めなければプレーの本質は分からないし、真似することもできない」と吉澤氏は言う。
あらゆるスポーツや武道において人間の体の動きを分析してきた専門家の目には、サッカー選手の動きはどのように映るのだろうか―。