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スペインの指導現場で体罰がないワケ

text by 編集部 photo by Kazuhito Yamada

スペインのクラブは育成しない!?


激しい練習を課すビルバオのビエルサ監督【写真:山田一仁】

西部 育成っていうけど、育成っていうより競争。スペインのカンテラとかだったら、ダメなやつは出しちゃうんですから。で、新しい選手を入れる。殴ってまで強くしようとはさらさら思わないですよ。できない人はさようなら、もっとできる人を雇いますと。

――ある意味、体罰よりも厳しいですよね

西部 体罰ってある意味、情熱の暴走という面もあるでしょう。何とかしようと思ってるから、殴る。その選手のためなのか、給料のためなのか、チームを強くするためなのか、学校のためなのかわかんないけど。ヨーロッパで殴るなんて聞いたことない。

――トレーニング強度という意味では、ビルバオっていうのはスペインの中でも強い方ですか。

西部 強度があるのは、競争が厳しいから。日本だったら「攻撃の練習だから」と言って、守備は真剣にいかないかもしれないけど、あの人たちは思いっきりいく。ある意味、試合よりもきついかもしれない。

清水 それがあるから、試合でも90分続けられたりするのかも。試合を見ていても、ビルバオに相手が「巻き込まれる」っていうのはすごくわかるんですよ、強度の面で。

 縦にボールが入った時とか、まずそこにガンッといく。その周りの選手に対して、連動してビルバオの選手もすぐにがっちり付く。ポストプレーで相手がボールを落とし、そのボールが緩かったりしたらビルバオの選手がすかさず奪う。まさにこれが、ビルバオに巻き込まれる瞬間。そういう強度で上回っていくという瞬間が試合の中で多いですね。

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