Jクラブに加入する際に発生する育成保証金の実際
15歳から22歳までの間プレーした団体に支払われるトレーニング費用は、プロ入り直前の在籍団体には上限30万円×在籍年数(※ただし5年目以降は年15万円)、2つ前以前の在籍団体には上限15万円×在籍年数という計算式で算出する。一方のトレーニングコンペンセーションの計算式は、J1への移籍で年800万円。J2で年400万円、JFLで年100万円となっている。
新卒選手として開幕スタメン出場を果たした名古屋のDF牟田雄祐を例にとると、名古屋入団によって直前の在籍団体である福岡大学には30万円×4年の120万円が上限として、2つ前の在籍団体である筑陽高校には15万円×3年の45万円が上限として支払われる。
しかし、名古屋のような予算規模の大きなJ1クラブに入団する一部選手を除き、少なくないJクラブがC契約の年俸上限である480万円の中にトレーニング費用を組み込み、選手年俸からトレーニング費用を差し引くような契約形態を採り始めている。
しかし、23歳以下のアマチュア選手がいきなり欧州クラブとプロ契約した場合、FIFAの移籍規則におけるTCが適用される。わかりやすい例として、高卒でアーセナルに入団した宮市亮の事例を用いよう。
イングランド1部のアーセナルはFIFAのTC基準額において「UEFA1」にランク付けされるため、ユース時代の年掛け単価は「9万ユーロ」。
よって、中京大中京高校は「9万ユーロ×3年」で27万ユーロ(約3300万円)のTCを請求できる権利を持っていた。もし宮市がJクラブに入団していれば、高校が得られるトレーニング費用は上限で90万円。この違いは明らかというよりも驚愕のレベルだ。
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