周囲の選手は常に清武を見ている
この日もほとんどの時間を守備に費やしたニュルンベルクだが、シーズン開幕の当初と違うのは攻撃に転じた時、ボールを持った選手をはじめ、周囲の選手が常に清武を見ていることだ。2点目をアシストしたプレーは3点目に比べると綺麗なものではなかった。
フォイルナーからパスを受けた清武が前を向こうとしたところでDFマティプにチャージされたが、幸運にも清武の体にボールが引っかかり、すぐ外側を走るエスヴァインにパスを通すことができたのだ。しかし、この場面もマイボールになったら清武を起点に速攻を仕掛ける、というチームのイメージが反映されおり、それがあってこそのゴールだった。
この勝利で勝ち点は34となり、降格圏からは完全に抜け出し、頑張れば欧州カップ戦の権利を得る6位以内にも手が届く位置まで上昇してきた。ここで清武が要求されているプレーは日本代表とは違い、中盤のパスワークやコンビネーションを駆使した崩しが見られることはほとんど無い。
しかし、堅守から一発のカウンターにかけるスタイルの中でも、清武の技術とセンスは生かされ、仲間や指揮官に信頼されている。そして、この厳しい環境の中で研ぎ澄まされる創造力、集中力、そして実行力は先のステージ、そして日本代表でも飛躍の糧になっていくだろう。
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