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ベルギーで奮闘する小野裕二と永井謙佑。地元記者が語る彼らの真価とは?

今冬、スタンダール・リエージュへと移籍した小野裕二と永井謙佑。ベルギーの名門クラブはなぜ彼らを獲得したのか? そして現在の評価は? 地元記者が彼らの現在地を語る。

text by 小川由紀子 photo by Kenzaburo Matsuoka

スタンダールはなぜ小野と永井を獲得したのか

 この冬のメルカートで永井謙佑と小野裕二、2人の若き日本人攻撃手がベルギーのスタンダール・リエージュに移籍したのは、青天の霹靂だった。今季から第1GKとしてプレーする川島永嗣に加えて、スタンダールは一挙に3人の日本人選手を抱えることになったが、人々の関心はおのずと、なぜ永井と小野の2人を獲ったのか? という点に集中した。

 リエージュは、前々から冬の移籍期間で補強したい戦力を明確にしていた。『経験豊富なポストプレーヤー』だ。しかし、永井も小野も、まったく逆のタイプ。早熟だった小野は2010年に17歳でプロデビューしているとはいえまだ20歳になったばかり。

 24歳の永井も昨夏のロンドン五輪では代表として活躍したが、プロとしてフルシーズンを戦ったのはわずか1季のみ。さらに2人とも、ポストプレーを得意とするセンターフォワードではなく、小野はサイドアタッカー、永井もスピードが売りのゴールゲッターだ。

 よって2人の移籍が、クラブ側が日本市場への参入を狙った「コマーシャル目的」であると決めつけられるのは、むしろ自然の流れだった。1月の雪の日、リエージュ郊外にある広大なトレーニング施設で並んで練習を眺めていた地元紙『SUDPRESSE』のイブ・ブシャール記者も、「日本人選手の獲得は、会長たっての希望だったと聞いている。日本にマーケットを拡大するための戦略に他ならない」と断言していた。

 スタンダールのデュシャテレ会長は、オランダのエールディビジとベルギーのジュピラーリーグを合体させた、通称ベネリーグを立ち上げようと画策するほどの発展家。川島人気にも気をよくした彼が、さらに日本人選手を加えてテレビ放映権を日本に売り込みたいと熱望しているのはどうやら事実のようだ。

 同時に、隣国オランダの小クラブ、フェンロから本田圭佑や吉田麻也が巣立ったのに倣って、若手を育ててビッグクラブに売り込みたい、という思惑もあることだろう。

 レドニク監督は、2人を獲得した理由について本意を明かすことはしなかったが、母国ルーマニア代表のFWアドリアン・クリステア(ペトロルゥル)、同じくユース代表のFWゲオルゲ・ツクデアン(ディナモ・ブカレスト)を招聘したことで、己の意志を表わしているようにも見えた。

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