ポテンシャルの高さは誰もが認めるが
中村俊輔とプレーすると遠慮してしまう【写真:松岡健三郎】
言葉にもどこか覇気が感じられない。清水戦でメンバー外になった直後だから当然かもしれないが、どこか自信を失っているようにも感じられた。だが「自信はある」と彼は反論する。
問題は自信をプレーで表現できていない点にある。ピッチ上で周囲に要求する、あるいは鼓舞する場面は見られない。レギュラーが固定されていく状況で、控え組にはその立場から抜けようという気概が足りない。熊谷もそのうちの一人になっているのではないか。
「自分でも周りに流されている感じがする。例えば、シュンさん(中村)と一緒にプレーしていても遠慮してしまう。パスを預けておけば安全だから。でも結果的に自分のいいプレーを出せていない」
ポテンシャルの高さは誰もが認めるだけに、実際のプレーに物足りなさを覚えてしまう。
レギュラー争いに加わるには、存在意義を強くアピールしなければならない。淡々と、黙々とこなすだけでは、ただの順番待ちでしかない。出場停止や負傷といったアクシデントを待っているだけになってしまう。事実、小椋の負傷によってジュビロ磐田戦ではベンチ入りするかもしれないが、それは実力で勝ち取ったものではなく譲り受けた席に過ぎない。
メンタル的にも不安定な19歳の若者である。本当の意味でプロになっていくのはこれからだろう。まずは変化の胎動がほしいが、そのきっかけを掴めるのは自分自身だけだ。苦悩の時間の先に熊谷アンドリューの未来がある。
【了】
記事提供:ザ・ヨコハマ・エクスプレス