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広島市スタジアム建設活動の現在地 ~キーマン・石橋竜史市議に訊く~(後編)

text by 鈴木康浩 photo by Kazuhito Yamada, Yasuhiro Suzuki

広島市が、初めて予算に言及した!

 優勝を受けての、満を持しての質問だった。熱を込めて19ページに及ぶ質問書を読み上げた。今季のサンフレッチェが30万人を動員したこと。新スタジアムは集客産業になりうること。

「石橋さん! 約束は果たしましたよ! 僕たちが現場でできることはここまでです! あとはよろしくお願いしますね!」と、優勝を決めた直後の選手たちに夢を託されたこと、などが盛り込まれたものだ。

 一方、松井市長は官僚出身で、就任時より一貫してバランス重視の調整型。苦しい市の財政事情を背景に、否定はしないながらも明言は避ける。予想通り、用意された答弁書で民意は交わされていった。負けるわけにはいかない。このチャンスを逃すわけにはいかなかった。再質問で石橋氏は、「予算はつけないんですか! どっちなんですか!」

 声を枯らして食い下がった。市長が狼狽する。

「……まずは検討費用を設けたいと思う」。

 そして、認めた。市は初めて新スタジアムに関わる予算に言及した。過去20年においてたったの一度もなかった、広島にとっての大きな一歩だった。石橋氏は先輩議員たちから「現状で引き出せる最大限の答弁を得られた」と労われた。広島市は、今後、サッカー専用スタジアム建設について本年度中に実現可能性を含めた最終報告書をまとめる。

 石橋氏は市側の変化をどう受け止めているのだろうか。「神様のご褒美じゃないですけど、広島として培ってきたことが実を結んだのだと思います。スタジアムの環境が整ったわけではありませんが、ようやく踏み出す一歩が整いました。これからは県との連携を強化して、市にはより当事者意識をもってもらう。メディアにもどんどん発信してもらう。もっともっと熱く活動していく必要があります」

【了】

初出:サッカー批評issue60

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