協力的な広島カープ
インタビューのあと、石橋氏のマネージャーを務める藤本氏とともにカープの元プロ野球選手が経営する鉄板焼きのお店を伺った。
ご主人は「旧市民球場跡地は空き地にしておくくらいなら、サッカーでも何でも持ってきたほうがええと思うよ」といい、しばらくしてから「球場を取り壊した時点で、あの場所のカープの魂はもうなくなったけんね」というようなことを言った。
藤本氏によれば、今年のカープのファン感謝デーでは、前田健太や野村祐輔といった選手たちをはじめ、球団社長まで快く署名に協力してくれたという。一般のカープファンの反応も総じて良好なものだ。「それもこれも、やっぱり、優勝したことが大きいんですよ」
手元のビールグラスが空になったとき、藤本氏はしみじみと言った。「僕は大学院でスポーツマネジメントを専攻し、勝敗に左右されないクラブ経営の大切さを学んできたわけです。でも今回は、自分が学んだことを否定するようだけど、勝たなきゃ何も変わらなかった。平和やカープが謳歌される広島で、サッカー以外の人たちを巻き込むには絶対に優勝が必要だったと思うんですよ」
Jでは最たる育成型クラブの地位を確立した広島だが、県内では未だ新参者か。しかし、関わる人たちの不断の努力によって、そして今回の優勝という結果によって勝ち得たことがある。12月の定例議会で、石橋氏が会派を代表して市長に質問する機会を得たときのことだ。
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