機運が高まっては消えるサッカースタジアム建設
12月6日、クラブワールドカップ開幕戦の舞台となった横浜国際競技場でサンフレッチェ広島サポーターに話を聞いた。J1初優勝でかつてない注目が高まっている広島のサッカー専用スタジアム建設についてだ。
「関心ですか? すごくありますよ」
多くのサポーターの反応はそんな感じだった。広島では今、頻繁に新スタジアムの話題が報道されているという。
「旧市民球場跡地にスタジアムができれば、高速バスの停留場がすぐ近くにあるからアウェイのサポーターにも便利ですよ。あの場所は何と言っても、以前カープが3万人をさばいた実績がありますからね。市街地のど真ん中だし、試合が終わった後は街が盛り上がるでしょうし」
ある30代の男性サポーターは身を乗り出すように話してくれた。これまで何度となく行政に煮え湯を飲まされてきたなら尚更だろう。
広島のサッカー専用スタジアム建設の機運が高まったのは初めてのことではない。もう10年以上前に遡る。広島ビッグアーチの不備により、日韓W杯の開催都市として落選した広島。2003年には広島市長選挙でサッカー専用スタジアム建設を公約に掲げた当時の秋葉忠利市長が再選し、建設の動きが加速した。スタジアム推進プロジェクトが発足すると当時のサンフレッチェ広島OBの今西和男氏が事務局長に就任。が、志半ばで退任した。 あれから幾度も機運が高まっては消えた。なぜ実現できないのか。
この問題に精通する人物がいる。名を石橋竜史という。現職の広島市議会議員だ。かつてはアメリカや東京を拠点に、近年は広島を中心にDJやフリーアナウンサーとしてマルチに活躍した。広島サポーターからすれば、ホームゲームの前のスタジアムDJと言ったほうが通りがいいだろう。広島サポーターを取材したとき、数人が石橋氏の名前を挙げた。2011年4月の市議会議員選挙に出馬し、初当選。これまでクラブと行政と議会をうまく橋渡ししてきた石橋氏は、広島のスタジアム問題のキーマンと言っていい。
広島市内にある事務所を訪ねた。石橋氏に、ビッグアーチを含む広島の現状と新スタジアム建設の展望を訊いた。