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Jリーグ 12年前

ムアントンユナイテッドに快勝した浦和レッズ。見えてきたチームの収穫と課題

text by 川岸和久 photo by Kenzaburo Matsuoka

柏木の『奇跡的なシュート』で浦和がペースを握る


先制点を挙げた柏木陽介【写真:松岡健三郎】

 しかしムアントン側の思惑は8分、早々に崩れてしまう。この試合、初めて浦和が獲得した左サイドのコーナーキックを蹴るのはマルシオ・リシャルデス。ボールは中央の密集地帯を越えて、ファー側で待っていた柏木がダイレクトでシュートしたボールは、バウンドしてゴールの左隅に吸い込まれ、浦和が先制点を取ることに成功した。

 試合が始まる前にマルシオと柏木の二人で相談したというセットプレーではあるが、柏木自身が「奇跡的なシュート」と言うこの望外のゴールが、この試合の流れを決定した。

 早々にリードされたことで守備一辺倒で試合を運ぶわけにいかなくなったムアントン陣内にスペースが生まれ始める。さらに前半の29分、相手の最終ライン右に入っていたピヤポン・ブンタオが槙野への守備で2枚目のイエローカードを受けて退場となる。この退場により基本的には4-4-1となったフォーメーションに対して、5トップがピッチを幅広く使うようになり、中に外に那須、阿部、永田などからのボールが続々と配給されることになる。

 いくら相手がタイ王者だとしても、ホームで相手が一人退場したこの状況で、追加点を重ねられないようでは、ACLを勝ち取ることなど到底できはしない。果たして浦和は、前半こそ1-0のまま折り返したが、後半に入ると65分に関口、69分に原口と順調に点を加えて、78分には4点目となる相手ディフェンスのオウンゴールがネットを揺らした。

 そのままの流れで試合が終えられていれば、ACL初戦で背負った得失点差マイナス3をプラスに転じられるところだったが、90分にに右サイドを破られて上げられたクロスの先に待っていたダグノ・シアカが一矢を報いて4対1で試合終了となった。

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